忘れられない最初の患者さん
先日職場の採用更新の面接がありました。
そこでいくつかの質問を受けました。
「あなたにとって看護の場面で忘れられないエピソードは?」
今まで看護で色々な場面に出会いました。
悲しかったり、嬉しかったり、悔しかったり…。
その中で私がずっと忘れられない患者さんがいます。
まだ看護学生だった頃ですが、初めて受け持たせていただいた方。
高齢の女性で、物腰の柔らかな優しい方でした。
末期の胃がんでした。
医師から手術を勧められていました。
ご家族もそれを望んでいました。
私もその方がいいと思っていました。
ある日、その患者さんと病院の屋上をお散歩してる時
「私ね、手術はしませんよ」と言われました。
私は驚いて「え?何故ですか」と返しました。
病気を治すため、少しでも長く生きるために
手術は受けるべきと思ったからです。
その方は言いました。
「私はこの病気と一緒に生きてるのよね。手術しても少しだけ
長く生きられるだけで、もしかしたら逆に弱っちゃうかもしれないでしょ。
だから家族に迷惑かけず、最後まで自分らしく生きていきたいのよね」
「この病気も自分の一部」と笑って言うんです。
当時、まだ未熟な私はおっしゃられてる意味が分かりませんでした。
それから経験を重ね、色々な患者さんに向き合うたびに
あの時、あの患者さんが言われた言葉を思い出します。
「病気と一緒に、自分らしく生きていく」
そのために私たちはいるんだな、と思うんです。
ひとりでも多くの人が
どんな状況、環境の中でも
抱えてるものと一緒に、自分らしく生きていけますように。
自分もそうでありたいと思います。
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